「告白」という小説について

日記
06 /17 2010
告白、告白、と騒がれているので、どんな作品なんだろうと気になっていたのだが、とあるレビューを読んで大激怒。
憤怒、ともいえる気持ち。

※レビュー元はこれ : http://bit.ly/9yw9tF

久々に、こんなに怒った。
本当に、HIV感染者を人間兵器としているのか。
病気に苦しむ人間の血液を、他者を苦しめる凶器として提示するのか。
それも、”牛乳に血液を混ぜる”などと、感染など有り得ない方法で。
今、現実に苦しむ人達の姿を、「告白」の作者は間近で見たことがあるのか。
HIVという病気が作品にどれだけ深く関わるか、は問題ではない。
HIVという現実に存在する病気を、凶器として扱う姿勢に、深く、深く、怒りを感じる。

HIVに感染して、不安や絶望や、悩みや苦しみを抱えながら誰にも言えない人達がいる。
彼等がどれだけ苦しんでいるか、作者は知っているのか。
その心を感じたか。
その姿を見たか。
「実は」と話しを切り出す時の彼等の表情を、一度でも見ればいい。

投薬治療が大きな効果をあげる現在のHIVは、医療の分野では糖尿病のような慢性病に近い認識になっているのに。

もちろん、AIDSで死に近い人だっている。
今も頑張って生きている、古い友達の一人のように。
実際に苦しむ人間のいる現実の病名を持ち出し、人に恐怖を与える凶器というレッテルを流布しようというのか。
最悪だ。絶望の際に居る人の背中を押す可能性があることを、なぜ考えない。
ひとが、死ぬかもしれないんだぞ。

書物は、簡単に情報を広める。
そして、情報には、イメージや印象が付随する。
人は、常にイメージに左右されて生きる生き物だ。
なぜなら、人が生きるためには感じることが不可欠で、感じるという行為はイメージをつくりだす。
現実に存在する病気を持ち出すのなら、それは「この物語はフィクションです」で済む話しじゃない。
物語が植えつけたイメージは、当事者にとってはフィクションにならない。

HIV に感染して、誰にも言えずに居るひとは、確実に居る。
それこそ、いつも遊ぶような近しい友達にも言えずにいる人達が、居るんだ。
多分、多くのひとが想像するよりも沢山に。
そして、そういう人達のなかには、突然、自殺をする人もいる。
遺された人間は、どうして…と悔やむ。
失われてからでは、遅いものもある。
大切なひとの、命のように。
物語が植えつけたイメージは、当事者にとってはフィクションにならない。
そしてそのイメージは、誰かを生き辛くさせる。

ある医師が言った言葉を、僕は何度も口にする。
その言葉に、自分の願いも付け加えて。
HIVのひとにも、HIVではないひとにも。
心理カウンセリングのクライアントにも、クライアントではないひとにも。
何度でも、言ってきた。
これからも、何度も言う。


「あるお医者さんいわく、今のHIVは、糖尿病と同じ慢性病みたいなものなんだって。
投薬治療で、検出限界以下にウィルスを減らすこともできる。
だから、大丈夫だよ。
セックスだってできる。
人に触れることができる。
これからも、生きていけるよ。」


自分が誰かに言った言葉は、形が変わっても、また誰かに伝わっていく。
誰かから、誰かに。
伝わっていく言葉が、誰かの助けになればいい。
伝わっていく言葉が、死に向かう誰かの足を引き止めてくれればいい。
だから僕は、言い続ける。
生きていて欲しいと思うから。

ひとは、生きていなければ、幸せになることすらもできないから。

死んだらもう、幸せにも不幸にもなれないから。


だから、生きていて欲しいんだ。

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すてきな心理カウンセラーに会ってきました

心理カウンセリング
06 /04 2010
この日は、愛知県豊田市にある土橋にお住まいの心理カウンセラー、竹内成彦氏にお会いしてきました。
竹内氏は、心の相談室withを開いているプロの心理カウンセラーで、是非この人にお会いしたいと思った心理カウンセラーのおひとり。


実際の竹内氏は、HPの写真よりも少し歳を召していたけれど、とても素敵な人でした。
まず、雰囲気に無理が無いのです。
張りつめてもいないし、かといってユルくもない。
なんというか、とても人間らしい反応。
初めて会う人には、ちょっと緊張してドキドキしちゃうなあ、って、そんな感じ(笑)
コロコロ表情が変わって笑顔もかわいいなあ、と思うような人でした。


初めてお会いする今回は、「(ゲイであることを前提に)良い心理カウンセラーであり続けたいのだが、どう歩んでいけばいいか分からなくて悩んでいる」というテーマでカウンセリングを依頼しました。
あえて心理カウンセリングの技法やノウハウを教えて欲しい、と言わずに、悩んでますと言ったのは、そっちの方がずっと身になるからですね。

意外に思われる方もいるかもしれませんが、実は心理カウンセラーも心理カウンセリングを受けるんですよ。
というか、心理カウンセリングを受けたことのない心理カウンセラーは、深みが無いと思います。
心理カウンセリングのスタイルや考え方は、それぞれの心理カウンセラーが個別に持っていて当然だと思いますが、自分以外の心理カウンセラーによる心理カウンセリングを知らないというのは、もったいないことです。


ゲイの心理カウンセラーとしてドーンと打ち出していくために気になっていた事、悩んでいた事、それらの解決法への道しるべをこっそり示してくれた、竹内先生。(ここは敢えて先生と呼びます)

そういえば、そもそも僕は、心理カウンセラーとしての悩みを、パートナー以外の誰にも言ってなかったんですよ。
「僕は、自分と同じ土俵にいて、本物と思う相手に、心理カウンセラーとしての悩みを相談したいと感じていたんだ」と竹内先生の心理カウンセリング後に気づきました。
そりゃ、どれだけパートナーに相談してもスッキリしない訳です。
僕は、自分と同じ心理カウンセラーに相談したい、と思っていたわけだから。
そして、「これからも、本物の心理カウンセラーと感じる人に会って行きたい」とも思いました。
実はね、日本では、きちんとクライアントからお金を頂いて、心理カウンセリングで生活している人って、とてもとても少ないんです。


「どんな人なんだろう、ああ、ドキドキする。」
と思いながら伺った、今回の竹内氏との初対面は、”ゲイ・コミュニティの中で心理カウンセラーをしていきたい”という目的を持つ自分の背中を、充分に押してくれたものでした。

ひとが、ひとと出会うということ。
その出会いにどんな意味を持たせるかは、他でもない、自分自身が決めること。
今回の出会いは、僕に自信と勇気を与えてくれたものでした。

竹内さん。
また、会いに行きますね。

本当に、ありがとうございました。

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村上 裕

【 ごあいさつ 】

はじめまして。
2007年に創業した、カウンセリングルームP・M・R代表の、ゲイの心理カウンセラー村上裕と申します。

性自認は男性。
セクシャリティはゲイ(男性同性愛者)です。

ゲイの心理カウンセラーではありますが、セクシャリティの枠にとらわれず、いろんな方からのご相談をお賜りしています。
ゲイの方から心理カウンセリングのご依頼を頂くことが多いのは事実ですが、
レズビアンの方、
トランスジェンダーの方、
クエスチョニングの方、
ゲイのご家族(妻、親御様、兄弟姉妹)の方、
ゲイに全く関わりのない方、
からのご相談も頂いています。

皆様、ありがとうございます。


もしも、カウンセリングやカウンセリングルームP・M・Rの活動にご関心を持って頂けたなら カウンセリングルームP・M・R とインターネット検索をして頂くか、下記URLをご参照下さい。
 
●カウンセリングルームP・M・R
http://www.pmr-co.com/


今日もまた、心理カウンセリングを求める方から、カウンセリングルームでご相談を聴かせて頂いています。
どうぞ、お気軽においでくださいね。


ひとを傷つけ、時に死に至らしめるような残酷さと、
苦しみの底に居る人の、生きる支えになるような暖かさ。

その両方を持っているのが人間だと思います。
そして、そんな人間といういきものが、私は本当に大好きです。


※これをご覧くださった誰かがお声をかけてくださらなくても、私のブログやWEBサイトが、生きることが楽しくなるような、充実した時間を過ごせるような、そんなきっかけになることを目指しています。


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